人生後半戦は2段階になっている。人生後半戦の第1部は仕事をしている期間、第2部は仕事をしていない老後と呼ばれる期間である。
正確には仕事の収入が主な収入源となる期間と、仕事以外の収入が主な収入源となる期間に分けられる。
仕事をする目的と期間
仕事をしている期間とは、仕事による収入で生活費を賄っている期間とも言える。仕事をしなければ生活できない、生活のために仕事をしているというのはあながち間違ってはいない。
仕事はお金のためだけではないという人もいるが、それも正しい。ただ「だけでは」ということでお金をもらわずに仕事をしているのであれば、それは無償ボランティア(奉仕)である。
仕事には2つの目的がある。1つは社会的目的、もう1つは経済的目的である。これに自己実現という目的を加える人もいるが、自己実現は仕事でなくてもできるので2つに絞ることにする。
人生後半戦にかかわらず仕事には必ず社会的目的と経済的目的がある。しかしながら社会的目的と経済的目的を達成できるのは仕事をしていない期間でも達成できる。
人生後半戦の仕事の目的
人生後半戦になると収入が増える人よりも目減りしていく人のほうが多い。退職金は給料の後払いなので会社に預けていたのと同じである。終身雇用と考えれば退職金は老後資金とも言える。
退職金を老後資金と考える人は、年金と退職金の取り崩しで生計を立てようと計画する。これが昭和のバブルがはじけるまでの一般的な考え方だった。
バブルがはじけた後は社会的目的と経済的目的は必ずしも一致しなくなった。良いものをつくっても売れない、悪いものでも売れるという時代に変わってしまった。
つまり仕事の目的は社会的目的よりも経済的目的を達成する方法論に変わった。そうでもしなければ生活するためのお金を得ることができないからだ。もっともすでに退職金と年金をもらっている人たちには影響はなかった。
当たり前の収入と支出の話
生活するのにお金は必要である。ではどれだけ必要だろうか。まずクリアしなければならないのは、生活するのに必要なお金はいくらなのかを知ることである。
生活するのに必要なお金(支出)を充たすだけのお金(収入)が必要である。生活に必要なお金とは支出額を超える収入額が必要だということだ。当たり前の話である。
年金と退職金の取り崩しだけで生計を立てようと思うと年金月額と退職金取り崩し月額で生活を賄うことになり収入に変化はない。生活による支出が同じであればこれで十分だ。ところがそうはいかない。人生後半戦にも生活の変化はある。
人生後半戦の生活にはどのような変化があるだろうか。支出に応じた収入を得ることはできるだろうか。もしできないなら貯蓄はどのくらいあればよいのだろうか。これがライフプランニングの始まりである。
ライフプランニングはお金の話
前述のとおり仕事には社会的目的と経済的目的がある。バブルがはじけた後は経済的目的にだけ目が向いたような気がするが、それはバブルを経験した人たちの話である。
バブルを経験していない人にとっては、収入が少なくなっても社会的目的と経済的目的の両輪が仕事だと思っている。ところがバブルを経験した人たちはこの考えを抑え込んでしまう。
ライフプランニングは支出の話であり、支出を充たすための収入と貯蓄をどうするかという話でもある。仕事のもうひとつの目的である社会的目的の話ではない。
ライフプランニングが支出の計画であるならば、同じように収入の計画を立てなければならない。収入の計画とは働き方の計画ではなく、仕事の計画である。
仕事とはワークではない、ビジネスである
経済的目的を主に考えるのであれば仕事はワークという考えになるが、社会的目的を主に考えるのであれば仕事はビジネスになる。人生後半戦に必要なのはワークという考えではなく、ビジネスという考え方である。
(つづく)