人生後半戦の新おとな学 Ver.2

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高齢者のひとり暮らしの問題点とは

出典:平成30年版高齢社会白書(内閣府)より

 


前回はひとり暮らしの老人の状況を人口と世帯数で概況を把握した。今回は「平成30年版高齢社会白書」を参考に人生後半戦の暮らしを考えてみたい。昨今、国会を賑わしてい厚生労働省の統計データ改ざんに端を発した統計上の問題はあるかもしれないが、傾向を見るのには十分だろう。

 

 

65歳以上の人口は3554万6千人

 

この記事を書いている時点では、「日本の総人口は1億2641万7千人、65歳以上の人口は3554万6千人」である。割合にして28.1%、4人に1人以上が65歳以上となる。

高齢社会白書によれば、2035年には3人に1人が65歳以上になる。20世紀の後半までは21世紀という未来に期待と希望を抱いていたかもしれないが、現実はどうだろうか。

65歳以上の人口が増えるにつれて、65歳の人達が社会に与える影響を考える必要がある。また同時に65歳以上の人は社会に頼るだけでなく、自分自身で人生をデザインする必要がある。

老化に対抗しよう、老化を遅らせようという考え方もあるし、老化を受け入れようという考え方もある。どちらにせよいつかは死を迎えるので、それまでの生き方を考えなければならない。

※前回は厚生労働省の「平成 29 年 国民生活基礎調査の概況」を、今回は内閣府の「平成30年版高齢社会白書」を参考にした。数値に差はあるが許容範囲と考えた。

 

平成30年版高齢社会白書を読む

 

「平成30年版高齢社会白書」は200ページ以上ある。その中で独居に関わる部分だけをピックアップすることは難しい。なぜなら「独居=ひとり暮し」であり、暮らし方はあらゆる分野と関係するからである。

とは言っても、注目されている問題がある。まず「孤独死」という問題である。人間は自然死で人生を終えるとき、ほとんどがひとりで死ぬ。同じタイミングでに自然死を迎える人は稀であることを考えると、ひとりで死ぬという意味での孤独死は問題とはならない。

孤独死が問題となるのは、死後の後始末である。人間は所有しているものが多々ある。自分の肉体を始めに、財産、権利、借金などの負債も所有物として考えられる。また人間関係、デジタル遺品と呼ばれるネット上の所有物もある。

これらの所有物は死後にどのようになるのだろうか。生前整理という方法もあるし、信託、遺品整理、葬儀・納骨代行ービスもある。これらをまとめて「終活」というビジネスの道具にもなっている。

 

 

 

孤独死は大都市で起きる可能性が高い

 

「第1章 高齢化の状況 − 第2節 高齢期の暮らしの動向 - 4 生活環境」では、「一人暮らしの60歳以上の者の4割超が孤立死(孤独死)を身近な問題と感じている」とという記載がある。

「夫婦のみの世帯」が14.6%に対して、「一人暮らし」は45.4%が感じていると読み取ることができる。夫婦のみから一人暮らしに変わった人が多いことは想像できるが、ひとり暮らしの期間が不明だ。どのようなひとり暮らしが続いていたかがわかれば対策も練りやすいだろう。

出典:平成30年版高齢社会白書(内閣府)より

同じく「孤立死と考えられる事例が多数発生している」では「東京23区内における一人暮らしで65歳以上の人の自宅での死亡者数」が毎年増えているという意図のグラフがある。

このグラフと東京23区の人口統計を比較すると次のようになる。

出典:平成30年版高齢社会白書(内閣府)より

23区人口の増加は平成15年と平成27年では135%の増加であり、この増加率が基準となる。65歳以上の人口増を65-74歳と75歳以上に分け2003年と比較すると65-74歳が120%、75歳以上が156%になる。

単に75歳以上の高齢者が増えるというだけではなく、高齢者になると人口の移動が起きずらいと考えることもできる。「第1章 高齢化の状況 − 第1節 高齢化の状況 - 4 地域別にみた高齢化」では平成27年を基準にした「都市規模別にみた65歳以上人口指数」が掲載されている。

日本の高齢社会での問題は大都市で起きることが予想できる。全国平均を問題とするのではなく、大規模の都市の問題と小規模の都市の問題に分けて考えなければならない。全国一律では問題は解決しない。

出典:平成30年版高齢社会白書(内閣府)より

 

介護は自宅で家族にしてもらいたい

 

人生の最期を迎える前に多かれ少なかれ「介護」という状態を経験することになる。私は両親の介護を通して介護には3段階あると感じている。

外出するときなどの屋外でのサポートするのは介助に近い介護である。家の中で日常生活の行動をサポートするのが一般的にイメージする介護である。家の中でも寝たきりのような場合は看護に近い介護である。

介護には要支援から要支援1から要介護5まで7段階あるが、その判定は要介護者の状態や症状、介護判定担当者にもよるので一律ではない。「介護」という2文字では想像できないほど幅があるのだ。

 

出典:平成30年版高齢社会白書(内閣府)より

「第1章 高齢化の状況 − 第2節 高齢期の暮らしの動向 - 2 健康・福祉 - (2)65歳以上の者の介護」では「介護を頼みたい人」という記載がある。男性女性共に配偶者と子に介護を依頼したいと多くの人が考えている。

ひとり暮らしでは配偶者と子に介護を依頼するわけにはいかない。このことが独居に対する不安を煽っているのではないだろうか。

ヘルパーなど介護サービスのに依頼したい女性の割合が多いのは、男性より女性の平均寿命が長いことから、自ずと配偶者に頼ることはできないことを覚悟しているのだと思う。

同じ項の「ウ どこでどのような介護を受けたいか」という記載には、73.5%の人が自宅で介護を受けたいとしている。

 

ひとり暮らしは自宅と家族・家庭が好き

 

平成30年版高齢社会白書(内閣府)より

前述の「第1章 − 第2節 - 4 生活環境」には「高齢者の持ち家比率」の記載があり、高齢者単身世帯が65.6%、高齢者のいる夫婦のみの主世帯が87.2%ととなっている。

独居=ひとり暮らしの不安の大きな原因には、「自分の家に居たい」という気持ちと「自分の家には家族が住み、家庭がある」という思いがあるからだろう。

まずは気持ちの上で自分の家という所有物との縁切りが必要なのかもしれない。