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敬老の日は80歳から、それでも720万人!

敬老の日は80歳から、それでも720万人!|新おとな学 Ver.2

 

「敬老の日」にちなんで総務省が「統計からみた我が国の高齢者」というトピックスを発表した。マスコミは大小はあれどこぞって超高齢化社会への危惧を取りあげた。これでは「敬老」と祝ってもらう人も気げ引けるというものだ。

 

過去最高、過去最多と言われても・・

総務省統計局が発表したのは「高齢者の人口と就業」についてである。
最高、最多の文字が目立つが今更という感じだ。 

1.高齢者の人口 (人口推計、World Population Prospects)
・総人口が減少する中で、高齢者人口は3588万人と過去最多
 総人口に占める割合は28.4%と過去最高
・日本の高齢者人口の割合は、世界で最高(201の国・地域中)
2.高齢者の就業 (労働力調査、OECD.Stat)
・高齢就業者数は、15年連続で増加し、862万人と過去最多
・就業者総数に占める高齢就業者の割合は、12.9%と過去最高
・高齢就業者は、「卸売業,小売業」や「農業,林業」などで多い
・高齢雇用者の4人に3人は非正規の職員・従業員
 高齢者の非正規の職員・従業員は、10年間で200万人以上増加
・非正規の職員・従業員についた主な理由は、
 男女とも「自分の都合のよい時間に働きたいから」が最多
・日本の高齢者の就業率は、主要国の中でも高い水準

 

  出典:統計トピックスNo.121(総務省統計局)

    統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-

 

「敬老の日」が制定されてから54年・・

「敬老の日」が制定されたのは1965年である。総務省の「高齢者の人口」に掲載されている資料によれば、1965年の65歳以上の人口は618万人、総人口に占める割合は6.3%であった。
1965年の平均寿命は女性が72.92歳、男性が67.74歳であり、当時の定年は55歳であった。
2018年の平均寿命は女性が87.32歳、男性が81.25歳であり、現在の定年は65歳である。高齢者を65歳からとするのは時代遅れとしか言いようがない。まして敬老の日は高齢者を対象にしているように扱うのは時代錯誤だろう。 

参考: 高齢者の人口(総務省統計局)

    平均寿命(厚生労働省)PDF

 

1965年と2020年の人口ピラミッド

同じく「高齢者の人口」に掲載されている資料によれば、2019年の65歳以上の人口は3588万人、総人口に占める割合は28.4%である。また2019年の80歳以上の人口が1125万人、総人口に占める割合が8.9%である。
これらの数字は偏に団塊の世代の影響によるものだが、65歳以上を高齢者として「敬老の日」にぶつけて騒ぎ立てるのはどうかと思う。人生100年時代と盛んに言っているのだから、80歳を過ぎたら「敬老の日」に祝うのも良し、88歳の米寿を迎えたら長寿を祝うという時代なのだ。

 

1965年と2020年の人口ピラミッド

出典:国立社会保障・人口問題研究所ホームページ (http://www.ipss.go.jp/

 

 

働く高齢者は862万人だが・・

高齢者が65歳からであろうがなかろうが就業者の実態は変わらない。
2017年から雇用保険が65歳以上も対象になったが、雇用保険は退職してからの話であり就業環境にに変わりはない。
高齢者就業数は過去最高の862万人ではあるが、65-69歳と70歳以上の就業率を比べると男性は2分の1、女性は3分の1になっている。
どうやら70歳が体力と気力の限界を自ら決めているように思えて仕方がない。

  高齢者の就業(総務省統計局)

 

高齢就業者が増えているのは団塊の世代が・・

高齢者就業者数の割合も過去最高の12.9%となっているが、グラフをよく見てほしい。
波線があるということは表示されているグラフの下にかなりの量が非表示なっているということだ。
よくあるグラフだが、2012年から徐々に増えているのは団塊の世代が数字を引き上げているのだろう。なんども団塊の世代を引き合いに出すが、現在の高齢社会の中心を成す世代であり、数字に大きく反映する世代なのだ。

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農業の高齢者割合と小売業の高齢者数

産業別に見ると農業・林業の高齢就業者の割合が飛び抜けている。ただし農業従事者の所得が低いというわけではない。マイナビによれば「農業所得が総所得の50%以上を占め、1年間に60日以上農業に従事しているなどの主業農家の総所得は約788万円」だそうだ。
他方で卸売業・小売業では就業者数が農業・林業よりも多い。小売業においては非正規労働者が多いことを考えると平均所得は農業より低いだろう。
農業を行っている地域に小売業・サービス業は多くはない。むしろ過疎化が進み農業放棄地も増えている。農業が問題なのではなく過疎化が問題なのだ。

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  農業の年収って? 平均年収や作物別の収益を調べてみた(マイナビ)
  農地・耕作放棄地面積の推移(内閣府)PDF

 

 

人生100年時代ならば「敬老の日」は高齢者の日ではない

高齢者が多いとマスコミが騒ぎ立てるのは、日本全国どこでも平均的に高齢者が多くなっていると考えているのだろうか。そんなことはない、地域別に高齢者率が異なっているのは認識していると思う。

ちなみに高齢化率第1位は秋田県35.6%、第2位が高知県34.2%である。
一方、高齢化率最下位は沖縄県21%、東京都が23%である。
秋田県の総人口は99万人、沖縄県が144万人である。
人口密度は1平方キロ当たり秋田県が85人、沖縄県は634人である。
当然、秋田県で感じる超高齢化と沖縄県で感じる高齢化は違う。

 

総務省の資料によれば百歳を超えるご長寿さんは7万人いらっしゃるそうだ。女性6万人、男性1万人、この差は平均寿命の差によるものだと考えられる。

「敬老の日」は国民の祝日で「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う」ことを趣旨としている。

敬老の日は高齢者の日ではない。このことを高齢者自身が意識することで、はじめて人生100年時代と言えるだろう。

  平成30年版高齢社会白書ー地域別にみた高齢化(総務省)