人生後半戦の新おとな学 Ver.2

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シニアになったら「お金」の使い方を変えろ!

 

シニアになったらお金の使い方を変えろ!

 

すでに何回か書いていることだが、何歳からシニアだという決まりはない。
自分がシニアだと自覚したときっからシニアになる。おそらくは50歳から65歳までの間に自覚するだろうと思う。
そのときに学ばなければならないことが3つある。今回は2つめの「何にお金を使うか」について考えてみたい。

 

「2000万円問題」は特定の条件下での問題

老後の資金が2000万円不足するという金融庁の報告書を「2000万円問題」として野党とマスコミがが盛んに取り上げたのは記憶に新しい。その後、報告書は撤回されたがいまだにホームページには掲載されている。
「2000万円問題」の騒動のおかげで金融庁が管轄する金融機関の投資セミナーはどこも盛況だったそうだ。「2000万円問題」が問題であろうとなかろうと金融庁の目的は達したのであるから、してやったりと言ったところだろう。

 

「2000万円問題には前提条件」がある

金融庁の報告書(P10)には「高齢者夫婦無職世帯」となっており、さらに「夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯」が前提条件となっている。
出典の「厚生労働省資料」の元の資料(P24 )には、「出所 総務省「家計調査」(2017年)」となっている。つまり使いまわしだ。
大元の総務省の「家計調査」(P38-39)を見てみると「不足分」が厚生労働省資料では「貯蓄などで対応」となっている。

 

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金融審議会市場ワーキング・グループ報告書 「高齢社会における資産形成・管理」PDF

厚生労働省 提出資料資料 「iDeCoを始めとした私的年金の現状と課題」PDF

総務省 家計調査報告(家計収支編) 「世帯属性別の家計収支(二人以上の世帯)」PDF

 

65歳以上の者のいる世帯は全世帯の48%、夫婦のみ世帯は31%

平成30年版高齢社会白書(2018)によれば、2016年の総世帯(4994万世帯)の48%(2416万世帯)に65歳以上の高齢者がいて、そのうち31%(752万世帯)が夫婦のみの世帯になっている。
752万世帯が前掲のグラフのような家計で暮らしているわけでもないし、残りの69%は夫婦二人で暮らしているわけでもない。
日本人の平均好きが「2000万円問題」というアジテーションに自分の暮らしに照らし合わせたのだろう。

 

不足分を補う方法としてNISAやiDeCoを引き合いに出す

もし前掲のグラフのように不足分が発生しても金融庁や厚生労働省の資料にあるNISAやiDeCoだけが解決の方法ではない。
生活資金が少なくなったら貯蓄等で補う前に、無駄遣いを控えるのが普通の考え方だ。
「家計調査報告」の中でも交際費や教養娯楽費にかける出費を中心に見直しはできるはずだ。
またこの家計調査報告の平均世帯主の年齢は75歳であるので、このグラフ自体に当てはまる高齢者のほうが少ないと思われる。

 

 

 

何にお金を使うか

前掲のグラフでは「金額(円)」と「割合(%)」が混在していたり、「不足分」を「貯蓄分で対応」にするなど意図的な変更がなされている。
それ以外にも家計では普段使わない「食料」「非消費支出」という用語が使われていたり、ほぼ年金収入を意味する「社会保障給付」となっている。
このような分類は「何にお金を使うか」という考え方には適していない。

 

「食料」は「食費」、内食・中食・外食と分ける

現実に合わせて考えると「食料」は食費として内食・中食・外食と分けて考え、酒・タバコ・サプリは嗜好品として分ける。
「住居」は賃料と修繕費・維持費に分ける。前回の「何処に住むか」でも記したように住む処と住む家によって大きな差が生まれる。
「保険・医療」には健康保険料は含めないが、生命保険料と健康維持・介護予防などの費用を含める。

 

高額な携帯料金とネット料金、高齢者の車両保有

「交通・通信」は「交通・車両」と「通信」に分けて考える。近年の携帯料金、高齢者の運転事故を考える指標となる。
「教養娯楽」も「教養」と「娯楽」に分けるべきであろう。娯楽は交際費的要素を含む場合も多く、純粋な教養とは分けて考える。
おそらくは「教育」と「教養」を分けて考えることができていないのではないだろうか。

 

エンゲル係数と高齢者の食料支出金額が??

「家計調査」の「高齢夫婦無職世帯の家計収支」にはエンゲル係数が記載され27.4%となっている。エンゲル係数は消費支出に占める飲食費の割合(%)なので、消費支出が少なくなればエンゲル係数は高くなる。
ところが世帯主の年齢別に見ると大きな差はないどころか、一人当たりの食費が増えている。これはいったい・・??

 

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「シニアライフ 2.0」で過去の常識から新しい常識へ

 

エンゲル係数は19世紀半ばに発表された指標である。当時も現在も人間は食べることに変わりはないが、エンゲル係数の分母となる「消費支出」も分子の「食料(食費)」も大きく変化している。
産業構造自体が一次産業から三次産業にシフトしているのだから、エンゲル係数は単に「食料」から「飲食サービス」全般にまで及ぶ。

 

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出典:明治から続く統計指標:エンゲル係数(総務省)

 

「シニアライフ 2.0」で見える化する

最近になって「なんちゃらPAY」が盛んだが、以前に「なんちゃら2.0/3.0」という用語が盛んに使われていたことがある。シニアという呼び方はいつまでたっても変わらずイメージも固定化され、「シニアライフ 1.0」のままである。
そろそろ旧態依然とした価値基準を変え、新しい価値基準をもってもいいのではないだろうか。価値基準を作って自分の生活を見える化することが「シニアライフ 2.0」である。

 

「食料・食費」という分類をやめる

同じ「食べる」という行為でも、生きるために食べる、健康のために食べる、楽しむために食べる、などに分けられる。
酒類は健康のため、楽しむためと分けることはできても、生きるためには入らない。
目的別に食料・食費を分類するとお金の使い方がわかり、何のために食べ、何にお金を使っているかがわかる。
「何にお金を使うのか」は、「何にお金を使いたいか」を先に考えることが必要だ。

 

 

 

「何」にお金を使うかではなく「何」のためにお金を使うか

 

支出は収入があってはじめて成り立つもののはずが、現代では収入がなくても支出できるのが現状である。収入より低い支出があるからこそ、預貯金ができ投資もできるのが一般的な常識である。
人生後半戦を迎えたシニアにとって収入が死ぬまで右肩上がりになる人は極々稀な人である。ほとんどの人が収入が下がる、実質収入が下がる、可処分所得が下がると考えたほうがよい。

 

収入が下がったから支出を抑えるのでは遅すぎ、収入が下がる前に支出を抑えなければならない。そのためには未来の収入を減らさないことも大切だが、未来の支出を減らすほうが大切である。
今までの「消費/非消費」「衣・食・住」「水道光熱・交通・通信」「教養・娯楽・交際費」という分類は支出の管理をするには適さなくなっている。

 

「生きるため・健康のため・楽しむため」の他にも、「仕事のため・家族のため・社会のため」という分け方もできる。
「何にお金を使うのか」ではなく「何のためにお金を使うのか」という意味での「何」を変えることがシニアには必要だ。
シニアだけではないと思うかもしれないが、まずシニアの自分ごととして考えてみてはどうだろうか。

 

「What - How - Why」という考え方があるが、シニアには「What - For What」と考えたほうが分かりやすい。